1. TOP
  2. » 調査内容
  3. » いじめ調査

いじめ調査について

いじめに関するいくつかの定義や社会情勢論を見てみましょう。

いじめのサインは、どのような状況でしょうか?

[参考] 都教育委員会「いじめ防止のための手引き」狛江市人権尊重推進委員会)

1.表情や態度

沈んだ表情。口をききたがらない。わざとはしゃぐ。ぼんやりした状態でいる。視線を合わせるのを嫌う等。

2.服装

シャツやズボンが破れている。ボタンがとれている。服に靴のあとがついている等。

3.身体

顔や身体に傷やあざが出来ている。マジックで身体へのいたずら書き。登校時に身体の不調を訴える。顔がむくんでいたり青白い等。

4.行動

ぽつんと一人でいることが多い。急に学習意欲が低下。忘れ物が多くなる。特定のグループと行動するようになる。使い走りをさせられる。プロレスの技を仕掛けられる等。

5.持ち物

持ち物がしばしば隠される。持ち物に落書きされる。必要以上のお金を持っている等。

6.周囲の様子

人格を無視したあだ名を付けられる。よくからかわれたり無視されたりする。発言に爆笑が起きる等。

いじめの定義

  1. (1)自分より弱いものに対して一方的に
    (2)身体的、心理的な攻撃を継続的に加え
    (3)相手が深刻な苦痛を感じているもの。
    なお、起こった場所は学校の内外を問わないこととする。(文部省1994年)

  2. 集団内で単独または複数の成員が、人間関係の中で弱い立場にたたされた成員に対して身体的暴力や危害を加えたり、
    心理的な苦痛や圧力を感じさせたりすること(都立教育研究所)

  3. 単独、または複数の特定人に対し、身体に対する物理的攻撃または言動による脅し、嫌がらせ、無視等の心理的圧迫を
    反復継続して加えることにより苦痛を与えること(警視庁保安部少年課1994年)
いじめ 図

いじめの構造(いじめの4層構造)

[参考] 森田洋司1986年

○ いじめる生徒
○ 観衆(はやしたてたり、おもしろがったりして見ている)
○ 傍観者(見て見ない振りをする)
○ いじめられる生徒

いじめの持続や拡大には、いじめる生徒といじめられる生徒以外の「観衆」や「傍観者」の立場にいる生徒が大きく影響している。「観衆」はいじめを積極的に是認し、「傍観者」はいじめを暗黙的に支持しいじめを促進する役割を担っている。

いじめの原因と背景

  1. 児童生徒の問題
    ・ 対人関係の不得手、表面的な友人関係、欲求不満耐性の欠如、思いやりの欠如、成就感・満足感を得る機会の減少、進学をめぐる競争意識、将来の目標の喪失、など

  2. 家庭の問題
    ・ 核家族、少子家庭の増加→人間関係スキルの未熟さ
    ・ 親の過保護・過干渉→欲求不満耐性の習得不十分
    ・ 親の価値観の多様化→協調性・思いやりの欠如、規範意識の欠如、など

  3. 学校の問題
    ・ 教師のいじめに対する認識不足
    ・ 教師も生徒も多忙で、お互いの交流が不十分
    ・ 知識偏重など、価値観が限られていると、差別の構造につながりやすい
    ・ 生活指導や管理的な締め付けが強いと、集団として異質なものを排除しようとする傾向が生じやすい、など

学校におけるいじめ問題

[参考] 学校におけるいじめ問題 - 国立国会図書館 岡村美保子

平成18(2006)年 9 月に行われた「全国」の高校2年生に対する「精神的いじめ」のアンケート調査では、小中学生時代の経験者が加害・被害のどちらについても「半数以上」に上り、加害・被害の双方を経験した生徒が最も多かった。
[参考] 木原雅子・木原正博「見えない暴力:精神的いじめの実態と社会」『教育と医学』647号,2007.5,pp.50-57.

仲間はずれ、無視、ばい菌ごっこなど、従来から続いているいじめは、かつては差別や偏見から起きやすかったが、異質の者の排除に加えて、ある日突然理由もわからず排除の対象になることがあり、小学校から中学校へといじめが引き継がれることも少なくないという。

また、一見仲良く見える小グループ内で序列が造られ、中のだれかをいじめることで連帯感を高め、集団の安定をはかるということが行われているという。

具体的には、交換日記などで特定の人間を集中攻撃する、芸を強要する、服装や言動を規定する、使い走りをさせる、毎日のように暴力をふるう、万引きを強要する、恐喝する、性的虐待を加えるなどである。

よく、犯罪的なものといじめを一緒に語るべきでないというが、現実には境界線があいまいで、ごく普通の非行歴もない子どもたちが、遊び半分に暴行を加えて相手を殺してしまったり、盗んででも金品を持ってこさせたりする。
[参考] 武田さち子「現代の「いじめ」の傾向―犯罪化と携帯電話・インターネットによる「いじめ」『児童心理』857号,2007.4,pp.38-42.

いじめの現代的特徴

[参考] 森田洋司・清永賢二『いじめ―教室の病い―』金子書房,1986.

①いじめの可視性の低下
②立場の入れかわり
③スティグマの拡大(従来からの身体的、環境的負因に由来するいじめや集団の中で弱い立場にあるものに加え、真面目な子、正義感の強い子、成績の良い子なども対象になる)
④いじめの集合化(いじめっ子が不特定多数に広がり、いじめが陰湿になるにつれて、いじめられっ子が特定の少数に固定されてくる傾向)
⑤歯止めの消失
⑥いじめと非行との接点(いじめと非行との境目の消失)が挙げられている。

ネットいじめ・サイバーいじめ

携帯電話やサイトを利用したいじめは、従来にはなかった、新しいいじめである。

たとえば、ひとりだけメールを着信拒否される。『うざい』『死ね』『殺す』などのメールが次々と送られてくる。『明日からクラス全員で○○を無視しよう』などと指示メールが回ることもある。発信者は匿名だったり、誰かの名前が勝手に使われることもある。

[参考] 武田さち子「現代の「いじめ」の傾向―犯罪化と携帯電話・インターネットによる「いじめ」『児童心理』857号,2007.4,pp.38-42.


サイトを利用したいじめでは、悪口の書き込みの応酬、援助交際のサイトに個人情報を書き込まれたり、写真を公開される、サイトに通学路線や時間帯、写真などを掲載されるといったことが行われているという。

「ネットいじめ」あるいは 「サイバーいじめ」と呼ばれている情報機器を利用したいじめは、現在、我が国のみならず、海外でも大きな問題となっており、平成18年から新聞や雑誌に記事が掲載されるようになってきた。

[参考] 春日武彦「ネットいじめは放火魔的」『Voice』355号,2007.7,pp.212-219.
「特集 新たな脅威:ネットいじめ」『教育と医学』2007.5,pp.50-85.
「暴走する携帯学校裏サイト」『AERA』1043号,2007.3.26,pp.16-19.
「いじめと生きる(連載)第5部@ネット」『東京新聞』2007.6.3-5,8-9.
「ネット君臨(連載)第3部近未来の風景1」『毎日新聞』2007.6.4.
「ネットモラル 2  顔見えぬいじめの恐怖」『読売新聞』2007.5.30.
下田博次「陰湿「ネットいじめ」増殖」『日本経済新聞』2007.4.28,夕刊.
「増殖し始めたネットいじめ」『産経新聞』2006.11.4.等。



携帯電話が生活必需品となっている今の子どもたちにとって、学校内のみならず家にいても逃れられず、被害者に対するダメージが大きい反面、誰にでも簡単に出来てしまい、加害者に罪悪感が乏しく、なりすましも可能であり、匿名性の高いネット上では悪意が増殖されやすい等、非常に問題が大きい。

「いじめ」を生む教師の言動

今日の教師には、教師らしく演技することよりも、「裸の人間」として生徒と対等の目線で付き合うことが要求されており、生徒たちの人間関係の空気を敏感に読み取り、あらかじめトラブルを回避するためなら生徒の機嫌すらも取り、いわば「大きな生徒」として彼らの人間関係の一部に積極的に溶け込んでいこうとする教師が増えている、という指摘もある。

[参考] 土井隆義「「優しい関係」に窒息する子どもたち―自分らしさの時代のいじめ問題」『世界』760号,2007.1,


教師―生徒の上下関係に耐えられない、生徒と友だち同士のような関係を求める教師が最近増えてきていることも指摘される。

[参考] 河上亮一「「いじめ」を生む教師の言動」『児童心理』857号,2007.4,pp.54-58.


このため、教師が生徒に対し、「不適切」な言動をとってしまう可能性が増している。また、豊かで自由・平等な社会が実現し、一人前の大人になる、ということが目標とならなくなったことや、高度消費社会が行き渡り、子どもを消費者として一人前扱いすることが一般的になり、いつのまにか自分が「一人前」であるかのように思い込んでしまったことにより、きわめて傷つきやすくなった子どもたちが、クラスでお互いに傷つけないように距離をとってピリピリ緊張しながら生活しているという状況にあることが、教師の言動でいじめを招く素地としてあるという。

「いじめ」を生む教師の言動」 図

加害者の子どもの心理

[参考] 土井隆義「「優しい関係」に窒息する子どもたち―自分らしさの時代のいじめ問題」『世界』760号,2007.1,

加害者の子どもの心理を分析したひとつに、①最近、家庭内暴力や児童虐待が増加しているが、こうした家族内で被害者の立場におかれて傷ついた子どもが、学校の中では加害者の立場に立っていじめをしている事例が多いこと、②自己肯定感の脆弱な子どもがいじめを行っており、以前はいじめられていた子が加害者となる場合も少なくないこと、③子どもたちが発達のエネルギーを発揮していける活動と人間関係を奪われているという問題があること、の3点が指摘されている。

[参考] 楠凡之「加害者の子どもの心理―子どもたちが「いじめ」で表出しているものを考える」『児童心理』857号,2007.4,pp.49-53.


 

③については、「今日、子どもたち同士の「つながり」が弱まり、また、放課後の生活世界までが塾やスポーツ少年団などを通じて大人に管理・統制されていくなかで、子どもたちは『集団的自立』の過程を展開していけなくなっている。その結果、行き場を失った発達のエネルギーは集団で誰かをからかって楽しむ「いじめ遊び」というかたちで頻繁に表出されていく」。

[参考] 楠凡之「加害者の子どもの心理―子どもたちが「いじめ」で表出しているものを考える」『児童心理』857号,2007.4,p.52. 

いじめから抜け出すのは容易ではない

いじめにおいて重大な問題として考えられるのは、一度いじめられる側に回されると、そこから抜け出すのは容易ではないということである。

例えば、「あいつはよくサボる」ということでいじめられ、そのいじめから抜け出ようと頑張って熱心にやってみても、またいじめられる。何をやっても救われにくい。

更に問題なのは、しばしばいじめられる本人にその問題性が帰結されることである。
一部の現場教師は、いじめられっ子にはいじめられる理由があるとすら考えている。
教師からみても、「あの子はおかしい子」ということになってしまうのである。

[参考] いじめ現象のコミュニケーション論的考察 - 上智大学 学位論文

平成のいじめ事件

[参考] 全国webカウンセリング協議会 いじめ対策

◆平成1年(1989).1.4〔16歳ら4人が女高生コンクリート詰め殺害事件〕

◆平成1年(1989).5.15〔15歳工員がいじめる同僚を殺人未遂〕

◆平成1年(1989).6.11〔いじめの仕返し、中学生が同級生を刺す〕

◆平成1年(1989).10.2〔中3がいじめ自殺〕

◆平成2年(1990).7.〔中3ら6人が傷害致死〕

◆平成3年(1991).5.22〔17歳ら暴走族4人が仲間をリンチ殺人〕

◆平成3年(1991).9.1〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成3年(1991).10.28〔18歳ら2人がいじめるカップルを復讐殺人〕

◆平成3年(1991).11.15〔中3の4人が養護学級少女をいじめ殺人〕

◆平成4年(1992).11〔中3がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).1.13〔中1らがいじめマット殺人〕

◆平成5年(1993).1.25〔中3がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).1.〔中学生2名による傷害致死事件〕

◆平成5年(1993).3.2〔中2がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).5.6〔高1がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).5.27〔中2がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).7.8〔中1女子がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).11.20〔中2がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).11.〔中学生による電車往来危険罪事件〕

◆平成6年(1994).5.30〔中3がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).6.3〔高1がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).7.5〔中3がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).7.15〔中2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).8.26〔高2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).9.5〔中2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).11.27〔中2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).12.13〔中1がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).12.14〔中3がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).2.〔中学2年生の首吊り自殺〕

◆平成7年(1995).4.7〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).4.16〔中2がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).4.27〔中2がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).4.28〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).5.1〔専修学校生がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).11.28〔中学生1年生の首吊り自殺〕

◆平成8年(1996).1.8〔高校生の飛び込み自殺〕

◆平成8年(1996).1.23〔中学生の首吊り自殺〕

◆平成8年(1996).1.25〔中学生の首吊り自殺〕

◆平成8年(1996).1.〔中学生によるいじめの仕返し目的の放火事件〕

◆平成8年(1996).4.26〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成8年(1996).9.〔中学生の首吊り自殺〕

◆平成9年(1997).5.25〔中3がいじめ仕返し殺人〕

◆平成9年(1997).6.9〔高2が殺人〕

◆平成10年(1998).3.〔中学生による首吊り自殺〕

◆平成10年(1998).3.〔中学生によるいじめの仕返しによる殺人事件〕

◆平成10年(1998).12.〔中学生によるいじめ事案〕

◆平成10年(1998).12.〔中学生による首吊り自殺〕

◆平成11年(1999).3.〔中学生による恐喝事件〕

◆平成11年(1999).10.〔女子高校生等による恐喝事件〕

◆平成12年(2000).1.14〔高3が1千百万円恐喝〕

◆平成12年(2000).4.13〔高3が同級生宅放火〕

◆平成12年(2000).4.25〔中3らが5千万円恐喝〕

◆平成12年(2000).5.6〔中2ら4人が殺人と死体遺棄〕

◆平成12年(2000).5.〔無職少年による恐喝事件〕

◆平成12年(2000).5.〔中学生による同級生に対する恐喝事件〕

◆平成12年(2000).6.14〔高2ら5人が恐喝、被害者自殺〕

◆平成12年(2000).6.21〔高3が金属バットで母親殺害〕

◆平成12年(2000).9.〔高校生による教師殺人未遂事件〕

◆平成17年(2005)丸子実業高校バレーボール部員自殺事件

◆平成17年(2005)滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件

◆平成18年(2006年10月11日)福岡中2いじめ自殺事件

◆平成19年(2006年)新潟県神林村男子中学生自殺事件

◆平成19年(2006年)尼崎児童暴行事件

◆平成20年(2007年)滝川高校いじめ自殺事件

◆平成22年(2009年)多摩川高校生水死事件

◆平成22年(2010年)桐生市小学生いじめ自殺事件

◆平成23年(2011年)大津市男子中学生自殺事件

◆平成25年(2013年)奈良県橿原市中1女子自殺事件

◆平成27年(2015年)神奈川県川崎市中1男子殺害事件

◆平成27年(2015年)岩手県中2男子自殺事件

いじめ

親として大切な我が子をいじめから守る

「親として大切な我が子を守らなくては!」
そう思ったら、調査をご相談ください。


いじめ問題では、証拠を得た後が非常に大切です。
証拠を集めて、学校や相手側の家族と話し合いを行い、協力体制をとって解決策を模索し、
子供の状況が改善されなけれななりません。
証拠をもとに、いじめの隠ぺいを防ぎ、誠実な対応を求めましょう。
子供同士のことなので、更にいじめがエスカレートしたり、
再発することがないよう、繊細なケアが必要です。

「依頼して本当によかった!」
子供さんの心からの笑顔を引き出し、一緒に晴れやかに笑える為に。

いじめ調査について

いじめ調査について

いじめに関する
いくつかの定義や
社会情勢論を
見てみましょう。

いじめのサインは、
どのような状況でしょうか?

[参考] 都教育委員会「いじめ防止のための手引き」狛江市人権尊重推進委員会)

1表情や態度

沈んだ表情。口をききたがらない。わざとはしゃぐ。ぼんやりした状態でいる。視線を合わせるのを嫌う等。

2服装

シャツやズボンが破れている。ボタンがとれている。服に靴のあとがついている等。

3身体

顔や身体に傷やあざが出来ている。マジックで身体へのいたずら書き。登校時に身体の不調を訴える。顔がむくんでいたり青白い等。

4行動

ぽつんと一人でいることが多い。急に学習意欲が低下。忘れ物が多くなる。特定のグループと行動するようになる。使い走りをさせられる。プロレスの技を仕掛けられる等。

5持ち物

持ち物がしばしば隠される。持ち物に落書きされる。必要以上のお金を持っている等。

6周囲の様子

人格を無視したあだ名を付けられる。よくからかわれたり無視されたりする。発言に爆笑が起きる等。

いじめの定義

  1. (1)自分より弱いものに対して一方的に
    (2)身体的、心理的な攻撃を継続的に加え
    (3)相手が深刻な苦痛を感じているもの。
    なお、起こった場所は学校の内外を問わないこととする。(文部省1994年)

  2. 集団内で単独または複数の成員が、人間関係の中で弱い立場にたたされた成員に対して身体的暴力や危害を加えたり、
    心理的な苦痛や圧力を感じさせたりすること(都立教育研究所)

  3. 単独、または複数の特定人に対し、身体に対する物理的攻撃または言動による脅し、嫌がらせ、無視等の心理的圧迫を
    反復継続して加えることにより苦痛を与えること(警視庁保安部少年課1994年)
いじめ 図

いじめの構造(いじめの4層構造)

[参考] 森田洋司1986年

○ いじめる生徒
○ 観衆(はやしたてたり、おもしろがったりして見ている)
○ 傍観者(見て見ない振りをする)
○ いじめられる生徒

いじめの持続や拡大には、いじめる生徒といじめられる生徒以外の「観衆」や「傍観者」の立場にいる生徒が大きく影響している。「観衆」はいじめを積極的に是認し、「傍観者」はいじめを暗黙的に支持しいじめを促進する役割を担っている。

いじめの構造 図

いじめの原因と背景

  1. 児童生徒の問題
    ・ 対人関係の不得手、表面的な友人関係、欲求不満耐性の欠如、思いやりの欠如、成就感・満足感を得る機会の減少、進学をめぐる競争意識、将来の目標の喪失、など

  2. 家庭の問題
    ・ 核家族、少子家庭の増加→人間関係スキルの未熟さ
    ・ 親の過保護・過干渉→欲求不満耐性の習得不十分
    ・ 親の価値観の多様化→協調性・思いやりの欠如、規範意識の欠如、など

  3. 学校の問題
    ・ 教師のいじめに対する認識不足
    ・ 教師も生徒も多忙で、お互いの交流が不十分
    ・ 知識偏重など、価値観が限られていると、差別の構造につながりやすい
    ・ 生活指導や管理的な締め付けが強いと、集団として異質なものを排除しようとする傾向が生じやすい、など
いじめの原因と背景 図

学校におけるいじめ問題

[参考] 学校におけるいじめ問題 - 国立国会図書館 岡村美保子

平成18(2006)年 9 月に行われた「全国」の高校2年生に対する「精神的いじめ」のアンケート調査では、小中学生時代の経験者が加害・被害のどちらについても「半数以上」に上り、加害・被害の双方を経験した生徒が最も多かった。
[参考] 木原雅子・木原正博「見えない暴力:精神的いじめの実態と社会」『教育と医学』647号,2007.5,pp.50-57.

仲間はずれ、無視、ばい菌ごっこなど、従来から続いているいじめは、かつては差別や偏見から起きやすかったが、異質の者の排除に加えて、ある日突然理由もわからず排除の対象になることがあり、小学校から中学校へといじめが引き継がれることも少なくないという。

また、一見仲良く見える小グループ内で序列が造られ、中のだれかをいじめることで連帯感を高め、集団の安定をはかるということが行われているという。

具体的には、交換日記などで特定の人間を集中攻撃する、芸を強要する、服装や言動を規定する、使い走りをさせる、毎日のように暴力をふるう、万引きを強要する、恐喝する、性的虐待を加えるなどである。

よく、犯罪的なものといじめを一緒に語るべきでないというが、現実には境界線があいまいで、ごく普通の非行歴もない子どもたちが、遊び半分に暴行を加えて相手を殺してしまったり、盗んででも金品を持ってこさせたりする。
[参考] 武田さち子「現代の「いじめ」の傾向―犯罪化と携帯電話・インターネットによる「いじめ」『児童心理』857号,2007.4,pp.38-42.

いじめの現代的特徴

[参考] 森田洋司・清永賢二『いじめ―教室の病い―』金子書房,1986.

①いじめの可視性の低下
②立場の入れかわり
③スティグマの拡大(従来からの身体的、環境的負因に由来するいじめや集団の中で弱い立場にあるものに加え、真面目な子、正義感の強い子、成績の良い子なども対象になる)
④いじめの集合化(いじめっ子が不特定多数に広がり、いじめが陰湿になるにつれて、いじめられっ子が特定の少数に固定されてくる傾向)
⑤歯止めの消失
⑥いじめと非行との接点(いじめと非行との境目の消失)が挙げられている。

ネットいじめ・サイバーいじめ

携帯電話やサイトを利用したいじめは、従来にはなかった、新しいいじめである。

たとえば、ひとりだけメールを着信拒否される。『うざい』『死ね』『殺す』などのメールが次々と送られてくる。『明日からクラス全員で○○を無視しよう』などと指示メールが回ることもある。発信者は匿名だったり、誰かの名前が勝手に使われることもある。

[参考] 武田さち子「現代の「いじめ」の傾向―犯罪化と携帯電話・インターネットによる「いじめ」『児童心理』857号,2007.4,pp.38-42.


サイトを利用したいじめでは、悪口の書き込みの応酬、援助交際のサイトに個人情報を書き込まれたり、写真を公開される、サイトに通学路線や時間帯、写真などを掲載されるといったことが行われているという。

「ネットいじめ」あるいは 「サイバーいじめ」と呼ばれている情報機器を利用したいじめは、現在、我が国のみならず、海外でも大きな問題となっており、平成18年から新聞や雑誌に記事が掲載されるようになってきた。

[参考] 春日武彦「ネットいじめは放火魔的」『Voice』355号,2007.7,pp.212-219.
「特集 新たな脅威:ネットいじめ」『教育と医学』2007.5,pp.50-85.
「暴走する携帯学校裏サイト」『AERA』1043号,2007.3.26,pp.16-19.
「いじめと生きる(連載)第5部@ネット」『東京新聞』2007.6.3-5,8-9.
「ネット君臨(連載)第3部近未来の風景1」『毎日新聞』2007.6.4.
「ネットモラル 2  顔見えぬいじめの恐怖」『読売新聞』2007.5.30.
下田博次「陰湿「ネットいじめ」増殖」『日本経済新聞』2007.4.28,夕刊.
「増殖し始めたネットいじめ」『産経新聞』2006.11.4.等。



携帯電話が生活必需品となっている今の子どもたちにとって、学校内のみならず家にいても逃れられず、被害者に対するダメージが大きい反面、誰にでも簡単に出来てしまい、加害者に罪悪感が乏しく、なりすましも可能であり、匿名性の高いネット上では悪意が増殖されやすい等、非常に問題が大きい。

ネットいじめ・サイバーいじめ 図

「いじめ」を生む教師の言動

今日の教師には、教師らしく演技することよりも、「裸の人間」として生徒と対等の目線で付き合うことが要求されており、生徒たちの人間関係の空気を敏感に読み取り、あらかじめトラブルを回避するためなら生徒の機嫌すらも取り、いわば「大きな生徒」として彼らの人間関係の一部に積極的に溶け込んでいこうとする教師が増えている、という指摘もある。

[参考] 土井隆義「「優しい関係」に窒息する子どもたち―自分らしさの時代のいじめ問題」『世界』760号,2007.1,


教師―生徒の上下関係に耐えられない、生徒と友だち同士のような関係を求める教師が最近増えてきていることも指摘される。

[参考] 河上亮一「「いじめ」を生む教師の言動」『児童心理』857号,2007.4,pp.54-58.


このため、教師が生徒に対し、「不適切」な言動をとってしまう可能性が増している。

また、豊かで自由・平等な社会が実現し、一人前の大人になる、ということが目標とならなくなったことや、高度消費社会が行き渡り、子どもを消費者として一人前扱いすることが一般的になり、いつのまにか自分が「一人前」であるかのように思い込んでしまったことにより、きわめて傷つきやすくなった子どもたちが、クラスでお互いに傷つけないように距離をとってピリピリ緊張しながら生活しているという状況にあることが、教師の言動でいじめを招く素地としてあるという。

「いじめ」を生む教師の言動」 図

加害者の子どもの心理

[参考] 土井隆義「「優しい関係」に窒息する子どもたち―自分らしさの時代のいじめ問題」『世界』760号,2007.1,

加害者の子どもの心理を分析したひとつに、①最近、家庭内暴力や児童虐待が増加しているが、こうした家族内で被害者の立場におかれて傷ついた子どもが、学校の中では加害者の立場に立っていじめをしている事例が多いこと、②自己肯定感の脆弱な子どもがいじめを行っており、以前はいじめられていた子が加害者となる場合も少なくないこと、③子どもたちが発達のエネルギーを発揮していける活動と人間関係を奪われているという問題があること、の3点が指摘されている。

[参考] 楠凡之「加害者の子どもの心理―子どもたちが「いじめ」で表出しているものを考える」『児童心理』857号,2007.4,pp.49-53.


 

③については、「今日、子どもたち同士の「つながり」が弱まり、また、放課後の生活世界までが塾やスポーツ少年団などを通じて大人に管理・統制されていくなかで、子どもたちは『集団的自立』の過程を展開していけなくなっている。

その結果、行き場を失った発達のエネルギーは集団で誰かをからかって楽しむ「いじめ遊び」というかたちで頻繁に表出されていく」。

[参考] 楠凡之「加害者の子どもの心理―子どもたちが「いじめ」で表出しているものを考える」『児童心理』857号,2007.4,p.52. 

いじめから抜け出すのは容易ではない

いじめにおいて重大な問題として考えられるのは、一度いじめられる側に回されると、そこから抜け出すのは容易ではないということである。

例えば、「あいつはよくサボる」ということでいじめられ、そのいじめから抜け出ようと頑張って熱心にやってみても、またいじめられる。何をやっても救われにくい。

更に問題なのは、しばしばいじめられる本人にその問題性が帰結されることである。

一部の現場教師は、いじめられっ子にはいじめられる理由があるとすら考えている。

教師からみても、「あの子はおかしい子」ということになってしまうのである。

[参考] いじめ現象のコミュニケーション論的考察 - 上智大学 学位論文

平成のいじめ事件

[参考] 全国webカウンセリング協議会 いじめ対策

◆平成1年(1989).1.4〔16歳ら4人が女高生コンクリート詰め殺害事件〕

◆平成1年(1989).5.15〔15歳工員がいじめる同僚を殺人未遂〕

◆平成1年(1989).6.11〔いじめの仕返し、中学生が同級生を刺す〕

◆平成1年(1989).10.2〔中3がいじめ自殺〕

◆平成2年(1990).7.〔中3ら6人が傷害致死〕

◆平成3年(1991).5.22〔17歳ら暴走族4人が仲間をリンチ殺人〕

◆平成3年(1991).9.1〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成3年(1991).10.28〔18歳ら2人がいじめるカップルを復讐殺人〕

◆平成3年(1991).11.15〔中3の4人が養護学級少女をいじめ殺人〕

◆平成4年(1992).11〔中3がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).1.13〔中1らがいじめマット殺人〕

◆平成5年(1993).1.25〔中3がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).1.〔中学生2名による傷害致死事件〕

◆平成5年(1993).3.2〔中2がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).5.6〔高1がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).5.27〔中2がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).7.8〔中1女子がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).11.20〔中2がいじめ自殺〕

◆平成5年(1993).11.〔中学生による電車往来危険罪事件〕

◆平成6年(1994).5.30〔中3がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).6.3〔高1がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).7.5〔中3がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).7.15〔中2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).8.26〔高2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).9.5〔中2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).11.27〔中2がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).12.13〔中1がいじめ自殺〕

◆平成6年(1994).12.14〔中3がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).2.〔中学2年生の首吊り自殺〕

◆平成7年(1995).4.7〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).4.16〔中2がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).4.27〔中2がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).4.28〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).5.1〔専修学校生がいじめ自殺〕

◆平成7年(1995).11.28〔中学生1年生の首吊り自殺〕

◆平成8年(1996).1.8〔高校生の飛び込み自殺〕

◆平成8年(1996).1.23〔中学生の首吊り自殺〕

◆平成8年(1996).1.25〔中学生の首吊り自殺〕

◆平成8年(1996).1.〔中学生によるいじめの仕返し目的の放火事件〕

◆平成8年(1996).4.26〔中2女子がいじめ自殺〕

◆平成8年(1996).9.〔中学生の首吊り自殺〕

◆平成9年(1997).5.25〔中3がいじめ仕返し殺人〕

◆平成9年(1997).6.9〔高2が殺人〕

◆平成10年(1998).3.〔中学生による首吊り自殺〕

◆平成10年(1998).3.〔中学生によるいじめの仕返しによる殺人事件〕

◆平成10年(1998).12.〔中学生によるいじめ事案〕

◆平成10年(1998).12.〔中学生による首吊り自殺〕

◆平成11年(1999).3.〔中学生による恐喝事件〕

◆平成11年(1999).10.〔女子高校生等による恐喝事件〕

◆平成12年(2000).1.14〔高3が1千百万円恐喝〕

◆平成12年(2000).4.13〔高3が同級生宅放火〕

◆平成12年(2000).4.25〔中3らが5千万円恐喝〕

◆平成12年(2000).5.6〔中2ら4人が殺人と死体遺棄〕

◆平成12年(2000).5.〔無職少年による恐喝事件〕

◆平成12年(2000).5.〔中学生による同級生に対する恐喝事件〕

◆平成12年(2000).6.14〔高2ら5人が恐喝、被害者自殺〕

◆平成12年(2000).6.21〔高3が金属バットで母親殺害〕

◆平成12年(2000).9.〔高校生による教師殺人未遂事件〕

◆平成17年(2005)丸子実業高校バレーボール部員自殺事件

◆平成17年(2005)滝川市立江部乙小学校いじめ自殺事件

◆平成18年(2006年10月11日)福岡中2いじめ自殺事件

◆平成19年(2006年)新潟県神林村男子中学生自殺事件

◆平成19年(2006年)尼崎児童暴行事件

◆平成20年(2007年)滝川高校いじめ自殺事件

◆平成22年(2009年)多摩川高校生水死事件

◆平成22年(2010年)桐生市小学生いじめ自殺事件

◆平成23年(2011年)大津市男子中学生自殺事件

◆平成25年(2013年)奈良県橿原市中1女子自殺事件

◆平成27年(2015年)神奈川県川崎市中1男子殺害事件

◆平成27年(2015年)岩手県中2男子自殺事件

いじめ

親として大切な我が子を
いじめから守る

「親として大切な我が子を守らなくては!」
そう思ったら、調査をご相談ください。


いじめ問題では、証拠を得た後が非常に大切です。

証拠を集めて、学校や相手側の家族と話し合いを行い、協力体制をとって解決策を模索し、子供の状況が改善されなけれななりません。

証拠をもとに、いじめの隠ぺいを防ぎ、誠実な対応を求めましょう。

子供同士のことなので、更にいじめがエスカレートしたり、再発することがないよう、繊細なケアが必要です。

「依頼して本当によかった!」

子供さんの心からの笑顔を引き出し、一緒に晴れやかに笑える為に。

 

ご依頼者の実例と弊社の実績

VOICE6

群馬県邑楽郡在住
鹿山深雪さん【仮名】
43歳女性からのご相談

相談内容

夏休みが終わりなろうとする頃、息子の様子に変化をがありました。
宿題が終わらなくて困っているのかなくらいに思っていました。

始業式の日になり、だらだらとしながらも学校に向かったので、私も仕事に出かける用意をしていました。
8時半を回った時に学校から電話があり、息子が登校していないとのこと。

私は慌てて主人に電話し、警察にも電話をかけました。
事故なのかと不安に押しつぶされそうになっていた時、警察から連絡があり、無事に保護したとのこと。

こうして息子が虐めにあっていた事実を知りました。
私は、なぜうちの子が酷い目にあうのかが理解できずにいました。

学校は、きちんと調査すると約束してくれましたが、9月も終わりになろうとしている頃にやっと連絡があり、息子への虐めの事実は確認ができず、子供同士のよくあるふざけっこが大げさに伝わってしまった。
それが感情的になっただけだろうとのことでした。

私は本当に悔しく悔しくて。息子に聞けば、相手グループの中心者は、地元では少し名の知れた会社社長の息子さん。
なんとか虐めの事実を突き止めて、うちの息子の正義を証明したい。」このような趣旨のご相談メールをいただきました。

状況確認

依頼者の息子さんである優斗君【仮名】15歳は、夏休み後に登校拒否をしている。
鹿山さんは学校に相談したが、学校側からはイジメの事実が確認できなかったとの返事。

優斗君がイジメを受けていた相手グループは、ある程度特定されていた。
優斗君はいまだに登校できていない。

調査後記

子供さんのイジメ問題は非常に難しい部分がある。
シンプルな解決法が当事者にとって本当にベストなのかは疑問がある。

子供には子供の社会があり、その中でどう生きる術を身に着けていくのかということが大切だ。
イジメの事実を正しく見つめることは本当に大切なことですが、何が事実かは見る人によっても違うのが社会というものです。

何より、疑う方も、疑われる方にも大きなリスクがあります。
実際に調査をするにあたっては、その証拠が得られるまでは絶対にバレてはいけません。

また、仮に調査結果が優斗君の言うようなものであっても、その証拠をどう利用するかです。
ここに最も大きなリスクが潜んでいます。
調査依頼があったからといって、すぐに着手が良いと限らないのがこのケースのようなことです。

ここに、まこと探偵事務所が、依頼人の利益を最優先にする理念があります。
調査着手する前に、私たちは優斗君と面談をする機会をいただくことにしました。
ここには専門のカンウセラーが同席します。
面談は一回で終わることはありませんでした。

優斗君の心情を汲み取りながら、丁寧に進めていきました。
優斗君が話をすることにより、どんどん頭の中や心の中までも整理されていきます。
4回目の面談の時、優斗君は自らの力で解決しなければ何もスタートしないことに気が付きました。
いや、本当はすでに答えは出ていたのかもしれません。

それでも、なかなか学校へはいけませんでしたが、担任の先生や数名の仲間たちが様々な形でコミュニケーションを図ってくれ、優斗君もそれに応えようと努力しているとの報告をいただいた。

そう言えば、優斗君との最後の面談時には、かなり打ち解けた雰囲気になれた。
「僕も将来は探偵になろうかな…」と言いいだす優斗君に、「やめた方がいいよ」といって大笑いした記憶が蘇ってきた。
これを乗り越えた優斗君の将来が本当に楽しみである。

 
ページのトップへ戻る